標準語とオタク

 しばらく放置してましたが、今回は軽めの更新です。シロクマ氏のところの記事に付いたブックマークコメントより。

rumble_pony 在京経験もなく、両親も標準語圏出身じゃないのに標準語を話せる、ニュアンスがいつの間にか標準語寄り。<男女ともにヲタ率高い

 元のシロクマ氏の記事は「隠れオタク女性の見分け方」なんですが、それに対して付けられたコメントです。rumble_pony氏は「なぜそうなのか」の理由を書いておられませんが、私自身はこれにしっかり当てはまっています。実際のところ、どこまで当たっているのかは分からないんですが、とりあえず私の場合を書いてみようかと。

 私は現在京都に住んでいますが、関西出身の人に対しては標準語寄りの関西弁、それ以外の地方出身(と思われる)人には標準語、と使い分けており、自分の地元の方言を使うことはありません。これは「わざと使わないようにしている」のではなく、「地元の方言で話してみてよ」と言われても「話せない」んですね。ただし、地元へ帰った時に周囲が皆方言を使っている環境でなら方言でも話せます。(完全な方言ではなく標準語寄りですが。)

 要は地元の方言が「身についていない」ということなんですが、私の場合この理由は簡単です。小学校〜中学校くらいまでの間の友人関係が極端に乏しく、「方言で話す」機会が非常に少なかったからです。
 この時期の私は「休憩時間になると決まって図書室に入り浸る」という学校生活を送っており、友人関係がそれなりに出来てきたのは高校生になってからでした。それまで「友人との会話」の経験が少なかったため、「言いたいことを頭の中で咀嚼してから話し出す」というスタイルを取るようになったんですね。その結果、それまで触れることの多かった文章語に近い標準語の話し方をするようになったわけです。

 こうしたことから類推すると、rumble_pony氏の言うようなタイプの人は、オタク率というより「元コミュニケーション不全」率が高いと言えるかもしれません。方言は「標準語より親しみやすい言葉」などと言われることもありますが、それは言い換えれば「相手との距離感が少ない」ということでもあります。コミュニケーションに苦手意識を持っている人は「対人関係に一定の距離を置きながら」生活している人が多いですから、方言より標準語が使われやすいのかもしれません。

 もっとも、そうでなくても例えば「子供の頃、親の転勤などで転校が多かった」人なども標準語寄りの人が多いでしょうから、元々あまり正確な指標ではないんですが。


(9/16追記

 引用したブックマークコメントのrumble_pony氏が、これに関して言及しておられます

 しかも敬語まじり。というか主体が敬語の標準語。(主体が敬語?ヲタって基本敬語な気がする)
 目立った流行語はあんまり使いません。

 方言に対する標準語もそうですが、「敬語」もやはり「相手に対し一定の距離を置くことができる」言葉です。初対面の人との会話が敬語で話されることが多いのはこのためですが、コミュニケーションに苦手意識を持っている人にとっても「敬語」は便利な言葉だと言えるでしょう。

 目立った流行語があまり使われないという指摘もありますが、これは「話し言葉として使われない」ということだと思います。ネット上でも「2ch語」や「VIP語」など一種の流行語と言えるものがありますが、これらを日常会話に使う人はほとんど居ません。これらはあくまで「書き言葉」だからです。
 「書き言葉に流行語は使えても、話す時には使えない」わけですが、これも「対人コミュニケーションの親密さの回避」ということと関連付けて考えることができますね。