2006-01-01から1年間の記事一覧

「非モテ」団結の功罪

前回の話と関連して、草実スサ氏の突っ込みに答えておきます。先日行われた革命的非モテ同盟のクリスマス粉砕イベントについて。 どう見てもネタですよね マジだというのであれば、せめて池袋の腐女子と連帯しないとダメじゃなかろうか。 革非同なんて「非モ…

「非モテ」の敵は「恋愛」に非ず

本田透の「電波男」以来、「恋愛至上主義」ないし「恋愛資本主義」こそが「非モテ」の根本問題である、という認識が「非モテ」議論の暗黙の前提とされるようになりました。「革命的非モテ同盟」の古澤克大氏もまた、そうした「恋愛至上主義」を最大の問題の…

匿名とネットウォッチの倫理

草実スサ氏から改めて趣旨説明がありましたので、それについてもう少し見ていきます。 匿名性の低い書き込みを排斥してしまいたいという感覚であれば、すでに述べたように、信じられないものではない。むしろ共感できると言ってもいいほどだ。だが、「排斥さ…

ネットウォッチ板と匿名について

草実スサ氏のこちらの記事に言及しておきます。一応、当事者としては何か言っておくべきかな、と思ったので。 流れとしては、2chネットwatch板の非モテ論壇ブログヲチスレッドに私が書き込みをしたことに対し、「コテハンで書き込むべきではない」という忠告…

冬と非モテとクリスマス

今回は軽めの更新です。 「革命的非モテ同盟」の古澤氏が、クリスマスイブの日にちょっとしたイベントを開催されます。それを読みながら、思い出した話をつらつらと。 日本では、若者にとってのクリスマスは「恋人と共に過ごす日」という風潮があります。し…

非モテ男よ、奢るべからず

しばらく放置しててすみません。前回の記事はまた別の形でまとめますが、その前に別の話を。 瀧澤氏のこちらの記事で提示されている、「食事の際、男が女に奢るという慣習」に対する疑義についてです。 まず、瀧澤氏の主張は、 「奢られ慣れていない女性にと…

「非モテ」の晒される性的視線(3)

「革命的非モテ同盟」の古澤克大氏から新たに言及があったこともあり、もう少し「非モテ」と「性的視線」の話を続けてみます。(「電車男」の話は脇道に反れるので、とりあえず保留にしておきます。) まずは古澤氏の議論を引用しつつ、捩れを解いていくとこ…

122代目進化バトン

最近何かと縁のあるbluedeさんからバトンを受け取りました。次のような注意事項付きです。 〜このバトンの注意事項〜 気に入らない質問を3個削除して新しい質問を3個加えてください。 バトンを受け取った方は、○代目をカウントアップしてください。 ちょっ…

「非モテ」が晒される性的視線(2)

前回の記事に対して幾つかコメントを戴きましたが、その多くは私の主張に否定的なものでした。今回はコメントへの返答・反論を含め、問題を再度整理してみることにします。 まずはMasao氏のコメントから。電車男の話は色々と込み入っているので、詳しい話は…

「非モテ」が晒される性的視線

前回の記事に対して幾つかの反応がありましたが、その中で最も的を射ていると思われたのが大野氏の記事でした。今回はこの大野氏の記事を参照しつつ、非モテの女性がWeb上で置かれている環境について考えてみたいと思います。 オタクも腐女子も、セクシャリ…

「恋愛できない女は洒落にならない」はどこまで本当か

はてなダイアリー界隈では、以前から「非モテ女性不可視論」が論じられてきました。これは、はてなダイアリーで「非モテ」を名乗る女性が男性に比べて少ないことから、「非モテの女性はどこに居るのか?」が度々話題になったためです。 今回は、これに関連し…

他者性と「モノ」と「意味」の構造

前回の記事に対してトラックバック戴いたMaybe-na氏への返答です。 たとえば、引きこもりでも部屋のちょっとした隙間からシミやカマドウマが忍び込んできたり、差し入れられたトウモロコシを茹でようとして包葉をめくったら、にょろりとイモムシが出てきたり…

「萌え」は「正当化」によって自閉する

前回の続きです。 まずは、前回の記事に対するsho_ta氏とkaien氏のコメントから。 >「生きていることが即ち偶発性の渦中にあることだ」が一つの答えにはなるでしょう。 ええと。 もちろんそう言えるのでしょうが、だとしたら「二次元萌えの喪オタは喪オタの…

「萌え」と「恋愛」それぞれの嘘

久々に恋愛についてのお話です。 今回は宮台真司氏のこちらの記事について。 生身の人間関係には全体性があるの。たとえば性格や振る舞いにも肯定面と否定面とが表裏一体あって、それらが合わさって人格になってる。人間関係もそうで、不愉快なもの、不幸な…

標準語とオタク

しばらく放置してましたが、今回は軽めの更新です。シロクマ氏のところの記事に付いたブックマークコメントより。 rumble_pony 在京経験もなく、両親も標準語圏出身じゃないのに標準語を話せる、ニュアンスがいつの間にか標準語寄り。<男女ともにヲタ率高い…

性規範と「差別の内面化」

前回の記事を受けてのBLUE PINK氏の記事への返答です。 自分が普通の人間だと思っている人は自分が普通の幸福が得られないことをそう簡単に納得できない。これ自体、他人に暴言吐いたりしない限り悪いことじゃない。 もちろん納得できればちょっとは幸せにな…

「非モテ」は如何にしてミソジニーに陥ったのか?(3)

今回は、前回の話と関連して、こちらの記事での覚悟氏からの言及に応えてみようと思います。ちなみに今回のタイトルは「非モテ」となっていますが、覚悟氏の使い分けに従うなら「喪男」のことになります。 「女性に酷い目に合わされた喪男」 代表ブロガー:私…

「女友達は恋愛と無関係」に潜むミソジニー

最近また放置気味ですが、今回は久々に「非モテ」ネタで。 押井徳馬氏のこの記事では、非モテ男性の人達に「とりあえず彼女作れ」とアドバイスすることの無意味さが論じられています。記事の趣旨には全面的に賛同するんですが、問題はコメント欄でのg氏の発…

循環小数のつかいかた

普段の話題と全く関係ないですが、今回はちょっとmime-TeXの練習を兼ねて、小飼弾氏出題の数学の問題を解いてみます。 問題はこちら。 次の条件を双方とも満たす整数が存在することを証明しなさい。 a. 1987を約数として持つ b. 十進法表記で、0と1だけ登場…

ジェンダーを論ずる理由は?

中絶をめぐる議論がもう少し残ってますが、その前にちょっと別の話を。引用はシロクマ氏のこちらの記事より。 なぜ、彼ら彼女らはジェンダーに拘って白熱した議論を続けていられるのだろうか?佳い女だったら何でもいいじゃんと思う私にとって、一見すると彼…

「権利」と「倫理」についての補足(2)

遅くなりましたが、前々回の続きです。コメント欄の議論の流れから、中絶論についてももう少し補足しておく必要があるかとも思っていたんですが、海燕氏のところでこれに関する論説が再開されたこともあり、これについてはちょっと保留にしておきます。とい…

「戦略」を立てるのは誰?

最近、一時期に固まって更新するパターンになってますが、久々に生物学絡みの話です。 シロクマ氏のこちらの記事より引用。 ああ、やっぱり強姦の話ひとつとっても、「べき論」とか「当事者がどうのこうの」よりも、生物としてレイプが進化する妥当性があっ…

「権利」と「倫理」についての補足

大変遅くなりましたが、中絶問題関連の話題の補足です。まずはjo_30氏のこちらの記事へのコメントから。 では「他者の人権」という概念の根拠は何でしょう。さらにさらにずるずると概念の連鎖を辿っていくとき、その先は「法」の範疇を越えるのではありませ…

「愛」という名の性的搾取

前々回の記事でのイカフライ氏のコメントへの返信記事です。 あと、もうひとつ。 >『「愛」の証として、強迫的にこの種の行為を迫られる昨今の風潮』 うーん、これって良く解りません、「脅迫的に迫られる」 あくまで自分の経験に過ぎないのですが、好きな…

中絶が「女性の権利」である理由(2)

私の前回の記事と前後して、海燕氏のところでも中絶について取り上げておられるようです。海燕氏の方の議論の展開にもおおいに興味はあるのですが、こちらはこちらで引き続き論じていきましょう。 さて、前回の記事に、Leiermann氏からコメント欄にて反論を…

中絶が「女性の権利」である理由

今回は久々にLeiermann氏のこちらの記事より引用。 そして、中絶が紛れもなく子殺しであり、最悪の児童虐待であることは知っておくべきだ。無論、出産が母子いずれかに生命の危険を伴うといった場合、あるいは性犯罪などによって妊娠させられた場合、出産し…

「オタク」のアイデンティティを巡って(2)

前回の続きです。 「オタクは死んだ」と宣言した岡田斗司夫氏は、「オタクは一般人とは違う、特別な存在でなければならない。そうしなくてはオタク文化は維持できない」と考えていました。今回はこうした考え方がなぜ生じたのかについて、もう少し煮詰めて考…

「オタク」のアイデンティティを巡って

今回は、方々で話題になっている岡田斗司夫氏のトークイベント「オタク・イズ・デッド」について、ゾゾミ氏のレポートを元に見ていきたいと思います。 まずは本題に入る前に、kasindou氏の記事から少し引用。 ただ上でも書いたとおり、岡田氏は「おたく」か…

「オニババ化する女たち」にみる反・近代

ちょっと間が空きましたが、今回は海燕氏のこちらの記事から。 本田は「負け犬の遠吠え」を「オタクを嘲笑している」として批判する一方で、「オニババ化する女たち」には共感を示している。で、ぼくの感想はといえば、ちょうどその逆だった。 「負け犬の遠…

「文化系女子論」と「萌え」の構造(2)

前回の記事について、「萌え」という語そのものをめぐって議論が迷走しそうな感じがするので、改めてまとめておくことにします。 私は、今回の「文化系女子論」をめぐる話で「萌え」という語が問題になったのは、以下のようなプロセスの結果だと考えています…